1. はじめに（導入）

抗ウイルス加工を施したプラスチック製品が増えている中、「実際にウイルスに対して効果があるのか？」という疑問に応えるため、第三者機関による試験が重要視されています。今回は、当社で実施したプラスチック表面の抗ウイルス試験の事例をご紹介します。

2. 抗ウイルス加工とは？

抗ウイルス加工とは、プラスチック表面に付着した特定のウイルスの数を減少させることを目的とした加工です。病気の治療や予防を目的とするものではなく、ウイルスの働きを抑制するものでもありません。

3. 試験方法：ISO 21702

当社では、ISO 21702「プラスチックおよびその他の非多孔質製品の抗ウイルス性試験方法」に基づいて試験を実施しています。

対応ウイルス例：
インフルエンザウイルス（H3N2）〔ATCC VR-1679〕 – MDCK細胞
ネコカリシウイルス〔ATCC VR-782〕 – CRFK細胞
※その他のウイルスについても、当社保有株の中で対応可能なものがございます。ご要望があればご相談ください。

4. 試験の流れ（図解付き）

試験サンプル：
平板状のプラスチック検体（加工済および未加工）5cm角 10枚程度
※未加工のプラスチックがご準備できない場合、当社で準備したポリエチレン板をコントロールとすることもできます。

1.試料にウイルス液（例：0.4mL）を接種し、カバーフィルムで覆う。
2. 25±1℃、湿度90%以上の条件下で24時間静置。
3. SCDLP培地を加えて検体上のウイルス液を回収。
4. 回収液中のウイルス感染価をプラーク測定法で測定。

5. 抗ウイルス活性値を以下の式で算出：
抗ウイルス活性値 ＝ log（未加工試料・接種直後感染価）－ log（加工試料・24時間作用後感染価）

5. 評価基準

抗ウイルス活性値(Mv) ≧ 2.0：効果あり（ウイルス数99%減少）

6. おわりに

抗ウイルス試験は、製品の衛生性能を客観的に示すための重要な手段です。プラスチック製品以外にも、スマホケース・フィルムをはじめとしたガラス製品やフィルム製品など幅広い検体に対応可能です。まずはお気軽にご相談ください。