1. はじめに

近年、衛生対策の一環として注目されている「オゾン水」。その抗ウイルス効果を科学的に評価するためには、第三者機関による客観的な試験が不可欠です。今回は、お客様が開発中の発生装置を当社に持ち込みいただき、装置から生成されたオゾン水の即時抗ウイルス活性評価の事例をご紹介します。

2. オゾン水とは?

オゾン水とは、水にオゾン(O₃)を溶解させたもので、強力な酸化作用によりウイルスや細菌を不活化する性質があります。ただし、オゾンは揮発性が高く、時間が経過すると効果が失われてしまうため、通常の液体製品のように検体を預かって試験を行うことが困難です。
今回の試験では、お客様が開発中のオゾン水生成機を当社に持ち込んでいただき、採取から約10秒以内という極めて短時間で試験を開始することができました。このような柔軟な試験体制は、当社の受託試験サービスの大きな強みのひとつです。

3. 試験方法:Time-kill試験

当社では、複数の時間点でウイルスの感染価を測定する「Time-kill試験」により、オゾン水の抗ウイルス活性を評価しています。
対応ウイルス例:
インフルエンザウイルス(A型 PR8株)
その他、当社保有株に応じて対応可能です。ご相談ください。

4. 試験の流れ

試験サンプル:
お客様が持ち込みされた開発機で生成されたオゾン水(原液)を採取

  1. 試験ウイルスとオゾン水を一定比率で混合。
  2. 所定の時間(例:0分、5分、15分、30分)静置。
  3. 中和液を加えて反応を停止。
  4. 中和後の液を細胞に感染させ、感染価を測定。
  5. 抗ウイルス活性値を以下の式で算出:
     抗ウイルス活性値 = log(ウイルス対照感染価)- log(オゾン水処理後感染価)
    この試験では、オゾン水の即効性と持続性を時間軸で評価することが可能です。

5. 評価基準

食品や雑貨用のオゾン水の抗ウイルス試験には標準規格や基準はありませんが、大まかな効果の目安としては下記の通りとなります。
抗ウイルス活性値 ≧ 3.0:十分な効果あり(ウイルス数99.9%以上減少)
抗ウイルス活性値 ≧ 2.0:抗ウイルス効果あり (ウイルス数99%以上減少)
試験結果は例えば%で表記をするなどのカスタマイズも可能です。またTime-kill試験では、時間経過によるウイルス減少の推移をグラフ化することで、製品の即効性や持続性を評価できます。

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