近年、衛生対策や感染症予防の分野で「オゾン水」などの殺菌水生成装置が注目されています。一方で、オゾン水はその品質を長期間保つことが難しく、その場で評価できれば効果がでるのに、ということが多々あります。今回は、当社が実施した受託試験の中から、オゾン水(殺菌水)の抗ウイルス効果を時間ごとに検証した事例をご紹介します
試験の背景
ある電機メーカー様より、「自社開発の殺菌水生成装置で作ったオゾン水が、ウイルスにどの程度効果を示すかを確認したい」というご相談をいただきました。オゾンは水への溶解性が低く、効果が時間とともに失われやすい性質があります。そこで、装置を当社に直接持ち込んでいただき、生成から10秒以内に試験を開始するという特別な試験設計で対応しました。
抗ウイルス試験とは?
抗ウイルス試験は、特定のウイルスに対して検体がどの程度感染性を減少させるかを評価する試験です。今回は、ノロウイルス代替として広く用いられる ネコカリシウイルス(F9株) を対象とし、オゾン水の不活化効果を複数の時間点(15秒、1分、10分)で比較しました。
実施した試験概要
- 試験対象ウイルス:ネコカリシウイルス F9(ATCC VR-782)
- 宿主細胞:CRFK細胞(ネコ腎細胞)
- 試験方法:ウイルス液とその場で生成したオゾン水を混合し、所定時間作用後に感染価を測定。プラーク測定法によりウイルス感染価を定量化し、不活化率を算出。
試験手順(簡易フロー)
- 1. 殺菌水生成装置を当社に持ち込み(または郵送)
- 2. 生成されたオゾン水を汲み出し、10秒以内にウイルス液と混合
- 3. 室温でインキュベート(15秒、1分、10分)
- 4. 所定時間ごとに反応を停止
- 5. 段階希釈後、CRFK細胞に感染
- 6. プラーク数をカウントし、感染価を算出
- 7. 不活化率(%)=(対照感染価 − 検体感染価)÷ 対照感染価 × 100
結果と考察
- 15秒の処理で約99.997%のウイルスを不活化
- 濃度に関わらず高い抗ウイルス効果を確認
- 同時実施の抗菌試験では、大腸菌も15秒で99.999%以上不活化
- これらの結果から、生成直後のオゾン水には非常に高い即効性があることが明らかとなりました。
- 揮発性が高く扱いが難しいオゾン水でも、生成条件を工夫することで十分な効果を発揮できることが示されています。
試験結果の活用例
今回の試験結果は、
新製品の性能評価資料
営業・展示会向けの技術データ
社内開発部門の参考データ

としてご活用いただきました。特に、科学的データに基づく「即効性の実証」は、製品の差別化や信頼性向上に大きく貢献しています。
このような検体にも対応しています
- オゾン水・電解水・殺菌水
- 消毒液・除菌剤
- 揮発性・即効性が求められる液体製品
まとめ
抗ウイルス試験は、製品の衛生性能を「科学的に見える化」するための重要なステップです。当社では、装置持ち込みや生成直後試験など、実使用条件に合わせた柔軟な設計が可能です。「この装置・液体、ウイルスに効くかも?」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。





